犠牲なんかじゃない。たとえその代償が、自由や生命や若さだったとしても。(オールクリア、コニー・ウィリス、大森望訳)

5/02/23

本と映画

愛する人や愛するものー英国か、シェイクスピアか、犬か、正義か、ホドビン姉弟か、歴史かーのためになにかをすることは、犠牲なんかじゃない。たとえその代償が、自由や生命や若さだったとしても。

前作「ブラックアウト」から続く史学生シリーズの完結編であり、その下巻でついにこれまでの謎が解かれていく…。

前作、今作上巻まではひたすら戦時下のロンドンを中心に描かれるため、地味で陰鬱な印象もあり、長いストーリーをここで投げ出してしまう向きもあるかもしれません。正直、自分も次はどうなると気になって読むのが止まらなくなるということなく、思い出したように本書を手に取り開くというような散漫で時間のかかる読み進め方で下巻を迎えました。

しかし、下巻以降はこれまでの伏線を見事に回収していく展開に息をのみ、あっという間に読了しました。そこに至る千ページ超の話はエンディングを楽しむための試練ですが、きっと報われます。

それにこれまで知ることのなかった第二次大戦下の英国、ロンドンの様子を垣間見れたことも収穫でした。

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