S社の場合は、何かのストーリー性のある商品なら、ニッチ商品のほうがかえってセールスレディのデモンストレーションの強みを生かすことができる。(問題解決プロフェッショナル 思考と技術 齋藤嘉則)

4/05/22

本と映画

良書との案内を受けて手に取りました。企画マーケティング、あるいは会社経営をする上で有用な思考方法を理論化し、それをわかりやすく説いています。一定の実務経験のある方が業務の棚卸しや現状解決の糸口を見つけるに際して読むことをおすすめしたい本です。

第1章、第2章では理論を、第3章は理論の体系的な業務への落とし込みを事例を交え紹介、第4章では著者の実務経験に基づいた理論運用事例の紹介がなされます。

「問題解決プロフェッショナル 思考と技術」のシラバス

理論部分は繰り返し自分の仕事に当てはめ、使いこなせるようにしたいと思いった箇所を抜き書きを残します。第3章については章と節のタイトルを、第4章については気になった記述を2つ抜き書きしています。第4章は「GAOL」のような企業ノベル的な要素があるので読み物として楽しめるパートになっていました。

従来のセオリーや枠組み、そしていままで築いてきた経験値が通用しにくい…解決ができない問題が山積みになる一方、その裏をのぞいてみれば、変化するところには必ずビジネスチャンスが生まれている。過去の指標が使えない、過去のセオリーが使えない、よるべき枠組みがないなとといってはいられないのだ。…いま求められているのは、新しい「枠組み」に関する知識でなく、自分の力で自分の実力にあった独自の「枠組み」を創り出す、問題解決の基本スキルである。それはどのような職種のスペシャリストにもゼネラリストにも、そしてプロフェッショナルにも、業種・業態を問わず求められる基本スキルである。(初版時の序文)

第1章思考編<ゼロベース思考><仮説思考>

特に一度成功を収めるとその上にあぐらをかき、過去の強みが現在の弱みになっていることにも気がつかず、次第に時代からとり残されていくケースは往々にして見受けられる。こうしたことが構造的に生じやすいのは、当然のことだ。なぜなら、過去に成功し、実績のある人が企業のトップに選ばれるのだから。(<ゼロベース思考><仮説思考>を実践する)

<セロベース思考>とは、「既成の枠」を取り外して考えるということである。…<ゼロベース思考>で考えろと言われてもなかなか難しい、と思う人に対して、考え方のこつをあげるとすれば、「顧客にとっての価値を考える」ということだ。(<ゼロベース思考>「既成の枠」を取り外す)

<仮説思考>とは、限られた時間、限られた情報しかなくとも、必ずその時点での結論をもち、実行に移すということである。とにかく早く結論を出して、早く実行に移す。そして、その結論を早く検証して次のステップに繋げていく。…まず結論を出せと言われても…と戸惑うはずだ。状況がよくわからなければ結論なんか出せないとか、当てずっぼうしか言えないなどと思うはずだ。しかし、最初は当てずっぽうでもよい。とにかく、なにがなんでも結論を出すことが仮説思考の始まりだ。…結論を言えない人に対して私がよく行う質問は、「理由や理屈は忘れていいから、とにかくなにがいちばん言いたいの?なにをすればいいの?」である。そして、思いつきでも相手がアクションに結びつくような結論を言うと、矢継ぎ早に「どうしてそう思うの?」と理由や理屈を尋ねる。…それは、とにかく実行に移せるレベルでの結論と言うことなのだが、その場合、実行することにより、いまよりもベターな状況が想定されれば、とにかく実行に移すことを考えればよい。実行した人の勝ち、と思っていい。GEのジャック・ウェルチ前会長の言う「走りながら解決する」というのは、企業活動を止めて問題を解決するわけにはいかないというよりも、むしろ走りながら解決したほうが非常に効率的で、よい結果がでやすいということを言っているのだ。(<仮説思考>常にその時点での結論を持ってアクションを起こす)

第2章技術編<MECE(ミッシー)><ロジックツリー>

< MECE>と<ロジックツリー>は、誰もが普段何気なくやっていることを、意識してシステマティックに行うための技術だ。限られた時間の中で問題を解決する際に非常に汎用性が高く、あらゆるビジネスの現場で応用の利く基本技術だと理解してほしい。そして、いったん習得すれば出来合いのフレームワークを使わなくても、それぞれのビジネスの現場にいちばんフィットする、オリジナルの問題解決フレームワークを作ることができる。(第2章技術編<MECE><ロジックツリー>)

<MECE>とはMutually Exclusive Collectively Exhaustiveの略である。日本語に直訳すると、「それぞれが重複することなく、全体としてはモレがない」という意味である。これを経営コンサルティング会社マッキンゼーでは「ミッシー」と読んでいる。実はこの<MECE>という概念は、全体として「モレなしかつダブりなし」という極めて単純な集合に関する概念だが、ビジネスにおいては非常に重要な考え方である。…最後に重要なのは、物事を大きく<MECE>でとらえられるようになったら、必ずメリハリ=優先順位をつけることだ。どんなに<MECE>になっていても、すべてをカバーした網羅的な解決策やメッセージは、何も言っていないのと同じことである。(<MECE>モレはないかダブりはないかをチェックする)

<ロジックツリー>とは、問題の原因を深掘りしたり、解決策を具体化するときに、限られた時間の中で広がりと深さを追求するのに役立つ技術である。…主要課題の原因や解決策を<MECE>の考え方に基づいて、ツリー状に論理的に分解・整理する方法である。…<ロジックツリー>を使って、この根っこの原因を突き止めるには、とにかくwhy>(どうして)を自問自答し続けることだ。…しかし、原因追求のレベルが浅ければ、問題の裏返しの解は単なるスローガンにしかならず、とても解決策とは呼べない。…<ロジックツリー>を使って解決策を具体化するには、SO HOW?の(だからどうする)を何度も何度も繰り返して深めていくごとが必要になる。…<ロジックツリー>を作る基本は次の3つである。

    •  各レベルができるだけ<MECE>か
    • ツリーの右側が具体的なげんいんや解決策になっているか
    • 具体的な原因や解決策がロジックの因果関係で主要課題にリンクしているか(<ロジックツリー>限られた時間の中で広がりと深さを押さえる)

第3章プロセス編 <ソリューション・システム>

  • 課題を設定する
    • 主要課題の設定ー何かと比較する
    • 個別課題の設定ー背後のメカニズムを考察する
  • 解決策の仮説を立てる
    • 個別解決策はコントロールかのうなものになっているか
    • 総合解決策は全体の資源配分を考えているか
  • 解決策を検証・評価する
    • 個別解決策の検証ーファクト・ベースでチェックする
    • 総合解決策の評価ーハードとソフトの両面から判断する
  • <ソリューション・システム>シートを使う

第4章実践編<ソリューション・システム>活用の現場

S社の場合は、何かのストーリー性のある商品なら、ニッチ商品のほうがかえってセールスレディのデモンストレーションの強みを生かすことができる。(P.178最初の仮説は「NO GO」だった)

もしかしたら「GO」できそうな要素があるときは、とりあえず仮説をポジティブに設定したほうがよい。そうすると、最終的に否定する場合でも、大きな漏れは未然に防ぐことができる。(P.183 2回目の仮説は「GO」に変わった)

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