ときどきね、クララ、いまみたいな特別な瞬間には、人は幸せと同時に痛みを感 じるもの、すべてを見逃さずにいてくれて嬉しいわ

3/01/22

本と映画


 
「ときどきね、クララ、いまみたいな特別な瞬間には、人は幸せと同時に痛みを感じるもの、すべてを見逃さずにいてくれて嬉しいわ」

クララとお日さま カズオ・イシグロ 土屋正雄訳

クララのような視点で描かれる物語はこれまでもあったかと思います。それでいて斬新なのは子どもたちを描いているからでしょうか。

同じ作者による「わたしを離さないで」同様に登場する人たちが今より進んだ洗練された世界に生きているはずなのに多くの断絶と苦悩を抱えている、ある意味、不幸な未来であることを常に意識させる内容です。冷酷な未来。その中で生きるものたちの葛藤や安寧を描いくことで読み手に新しい視点を与えてくれるのが本作です。

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