マーケティング脳で考えればうまくいく(田尻紋子)

8/17/24

言葉 本と映画


これから働く人にオススメ

本書のタイトルとを宣伝的に取り上げた記事に釣られ、手に取りました。「マーケティング脳」というフレーズから、マーケティングフレームに基づいた思考法か視座について語るものかと期待させるも、内容は若干、人生訓や仕事の心得のようなものでした。

「いま、日の前にいる人は何を必要としているか」「人はどのようなことを考えて行動するのか」という分析をするマーケテイング的視点は、私たちが送る日常生活のなかでも活かすことができるのです。(p.3)

新社会人の啓蒙書としては良いかもしれません。

脳内物質を良い方向に働かせる

本書の中で一番興味を惹かれた箇所は、マーケティング的な話ではなく、ホルモンの脳への影響について触れた節でした。

ウォーキングなどの運動をすると、ドーパミンや、気分の高揚をつかさどるβ-エンドルフィンが脳内に分泌されます。
ドーパミンが日常的に分泌されていると、発想力や感情が豊かになるといわれています。また、β-エンドルフィンの働きにより精神的な緊張も和らぐそうです。
たしかに、実際に歩いていると気分が晴れていくのを感じます。(p.74)

自分も考えをまとめる際に「散歩」を使うのですが、作者の田尻氏もそうされているようで、その効果を幸せホルモンとも呼ばれるドパーミン、β-エンドルフィンの分泌が関わることを紐解いてくれています。 

有用なホルモンを意図的に分泌させることで能力、集中力、発想の活性化するという視点が自分にはなかったのですが、完了しやすいチェックリストを埋めることで達成感を得てドパーミンの分泌を促すなどいくつかの習慣を日常的に取り入れていきたいと思うに至っています。

そのほか、本書で心に残ったフレーズ

「私が何を言いたいかわかるか?」と尋ねると、学生は「どんなにスケジュールが厳しくても、努力すれば予定を入れられる」と答えます。
教授の答えは「それは違う」
教授が言いたかったことはこんな言葉でした。「大きな石を先に入れないと、そを入れる余地がなくなってしまう」。(p.119)
多くの人は、やり方を知ることがノウハウを習得することだと動違いしているの
です。
本やセミナーなどでノウハウやコツが紹介されても、その奥にある構道や理屈まで説明してくれるケースは多くありません。その場合、ノウハウやコツを習得するには、自分でそれらについて考えたり調べたりする必要があります。(p.145)
マーケティング脳がない「頭が良いと思っている愚か者」は「自分は正しい」と思い込んだまま行動に移してしまいます。
このようなことにならないためには頻繁に自分の仮説を見直す必要があります。
毎日、いや毎秒のように自分の考えを訂正するような謙虚さが、ビジネスで結果を出すためには必要だと私は考えています。(p.147)
具体的には、「先ほどのご意見ですが、もう少し詳しく説明していただけますか?」などと切り出し、まずは相手の言い分をきちんと聞きましょう。ひととおり話してもらって、言葉が出てこなくなるまで聞きます。「〇〇さんはそう思うんですね。私の考え方を伝えても良いですか?」などと確認して自分の意見を述べます。こうすれば、相手を悪者にせずに自分の意見を伝えることができます。(p.154)
たとえば、チームでプレゼン資料をつくることになり、自分はデータを提示するページをまかされたとします。
プレゼン資料という「装置」の目的は、クライアントにアクションを起こしてもらうことだから、単に数字を並べるだけではなく、画像を補って説得力を持たせたほうが良い。マーケティング脳のある人ならそんなふうに考えるでしょ(p.178)


QooQ