どうしてこの本がこの本自身の中に出てくるなんてことができたのだろう?(はてしない物語、ミヒャエル・エンデ、上田真而子・佐藤真理子訳)

5/10/23

本と映画


そうだ、まちがいなくこの本だ、いま自分の手にあるこの本のことだ。けれども、どうしてこの本がこの本自身の中に出てくるなんてことができたのだろう? 

フィクションについてのフィクション、メタフィクション(メタ物語)に関心が湧き再読しました。

「はてしない物語」は、主人公バスチアンが読む「はてしない物語」と題された本の中の物語と共にストーリーが進行していく、本の中の本を軸に描かれるファンタジーです。これはひとりの少年の成長を描く物語であり、読み手にとっては救済小説です。そして、おそらく多くの本好きにとってあったらいいなを具現化した作品でもあるかと思います。

今回、2000年頃に刊行された岩波少年少女文庫版を手にして上巻まで読み進めました。

こちらが刊行された折、この本の根幹を捨てての文庫版に意味があるのかと訝しく思ったことを覚えています。装丁、文字の色…やはりそうした要素が欠けると本書の魅力が減ずるというのが正直な感想です。下巻は手に取らず、ハードカバー版で読み直すことにしました。

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